動脈硬化のリスクと通常の3倍の関係とは

動脈硬化を防いで若さを維持しよう

今回のテーマは、動脈硬化のリスクと対策について。

動脈硬化は、血管の老化現象ともいわれ誰でも加齢により動脈硬化が進んでいきます。

但し、その進み方は個人差が大きく同じ年齢でも大きな差が生じます。

今回の健康情報では、個人差が生じる原因と対策に加え、動脈硬化とは何か?動脈硬化はなぜ悪いかなどの基本情報も合わせてご紹介致します。

動脈硬化の要因とリスク

通常の3倍は動脈硬化にもあてはまる

「通常の3倍」※1、ガンダム世代※2の方には、好きなフレーズだという方も多いでしょう。筆者もこの世代でして、ガンダムに興味のない方はすみません。

※1 通常と比べて3倍という形容です。アニメ作品「機動戦士ガンダム」においてライバル機の凄さを表現したセリフ「1機のザクは通常の3倍のスピードで接近します。」で使用され、ファンの間で本作品の代表的なフレーズとして浸透しています。 ※2 アニメ「機動戦士ガンダム」を少年期に観て1980年代に社会へ出た世代をさす造語。

東京医科⼤学名誉教授⾼沢謙⼆⽒の説によると、この「通常の3倍」は、動脈硬化の要因とリスクにもあてはまり、更には要因が重複すると通常の3倍の更に3倍(9倍)など、リスクが3の倍数で大きくなっていきます。

動脈硬化の主な5つ要因

  • 喫煙
    タバコ
    ニコチンや一酸化炭素などの有害物質が動脈硬化を進める。
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  • 高血圧
    血圧計と数値
    血管壁にかかる圧力が高いと、血管が傷んでいく。
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  • 脂質異常
    血管とコレステロールが混ざったドロドロ血液
    血管壁の傷からコレステロールが入り、動脈硬化を進める。
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  • 高血糖
    血管と糖が混ざったドロドロ血液
    血液中の過剰な糖が血管を傷つける。
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  • 肥満
    太った男女
    高血圧や脂質異常、糖尿病の原因になる。
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動脈硬化の主な5つ要因と通常の3倍のリスクの関係

上記に該当する要因の数から推測される動脈硬化のリスクは要因が0の方に比べ、1つ増加するごとに「通常の3倍」※3と同じく3倍ずつ増加していきます。

要因 リスク
1 3
2 3×3=9
3 3×3×3=27
4 3×3×3×3=81
5 3×3×3×3×3=243
要因が1つでリスクが3倍、要因が5つでリスクが243倍
※3 5項目のリスクを全て3倍としているが、厳密な値ではなく加速度的にリスクが上がることを伝えるために分かりやすくイメージ化した値とのこと。

5つ全てが該当すると、動脈硬化のリスクが243倍にもなります。

このように、該当する数によりリスクが加速度的に増え、実際に健康に影響しますが、逆に考えると2つ減らすだけでもリスクが1/9になり、加速度的にリスクを低減することが可能です。

該当する方は、リスクの大きさを認識して1つでも減らして健康を守る努力を行いましょう。

心臓や脳の病気だけではなかった。動脈硬化で見た目も老ける?!

動脈硬化とは何か?

その漢字から読み取れるように動脈の血管が硬くなった状態です。

血管が硬くなって柔軟性を失うことで脆くなり、傷ついたり破れたりしやすくなるほか、傷から血管内にコレステロールが入り込んでコブを作り、血管を狭くして血流を悪化させます。

また、血管が傷つくと血栓が作られやすくなり、血管が詰まる原因になります。

動脈硬化は、血管が破れたり、詰まりを促進したり、血流が悪化して以下の病気を促進します。

動脈硬化が原因で起きる主な病気

  • 脳卒中(脳内出血、脳梗塞など)
  • 心疾患(心筋梗塞、狭心症など)
  • 末梢動脈疾患(PAD)
  • 腎硬化症
  • 認知症
  • 眼底出血
  • 大動脈瘤や大動脈解離
...など

また、血流を悪化させることで以下の症状を促進します。

動脈硬化による血流の悪化で起こる主な症状

  • シワ、シミ、くすみ、たるみ、白髪、抜け毛の増加(見た目の老化)
  • 毛細血管のゴースト化の促進(毛細血管の血液悪化や毛細血管の消失)
  • 慢性疲労
  • 免疫力低下
  • 冷え
  • 記憶力低減
  • 足のむくみ
  • めまいや耳鳴り
  • 肩こり
  • 胃腸の不調
...など
血管の老化と見た目の老化

動脈硬化は血管の老化!
進むと見た目の老化も進む!

見た目年齢と血管年齢の関係

動脈硬化は、見た目の老化にもつながるとご紹介しました。

このことは古くから知られており、「人は血管とともに老いる」というアメリカの医学者オスラーの言葉を聞かれたことがある方もいらっしゃると思います。

このことは、日本でも実際に研究して報告されています。

愛媛大学医学部附属病院のグループが行った研究1)で、血管年齢(動脈硬化の進み具合)と見た目年齢や肌年齢(しみ、しわ、毛穴の状態)、耳年齢(聴力レベル)の関係を調査しました。

その結果は、動脈硬化が進み血管年齢が高くなるほど、見た目年齢や肌年齢、耳年齢が高くなりました。

中でも特に、肌年齢のしみの面積と血管年齢の関係に強い正の相関性がみられたと報告されています。

しみが多い人は、動脈硬化に注意しましょう。

しみの面積と動脈硬化の関係

しみの面積が広いほど
動脈硬化が進んでいた!

この研究報告の結びに、動脈硬化の予防、治療により「見た目」、「肌」および「耳」のアンチエイジングにもつなげていける可能性がある。と記されています。

いつまでも若くありたい方は、動脈硬化対策も忘れず行いましょう。

動脈硬化の予防と対策

ズバリ、3倍のリスクをもたらす要因の該当数を減らすことです。

そのためには、禁煙と生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満)の予防や改善を行いましょう。

生活習慣病の予防・改善のページを参考に行ってください。

【出典】
1)伊賀瀬道也, 小原克彦:アンチエイジングドックのデータから ~ヒトは見た目とともに老いる!~.愛媛大学大学院老年神経総合診療内科学総合健診 42(1) 125−126, 2015.

2025年02月03日
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