「効き過ぎ」「効かない」「副作用が出る」危険な薬の使用方法とは? ①
飲み薬の正しい使用方法を再確認しましょう
今回のテーマは、薬の使用方法について。
間違った方法で薬を使用すると、効き過ぎたり、効かなくなったり、副作用が出る可能性があります。
今回の健康情報は、飲み薬の間違った薬の使用方法と起こりえる悪影響についてご説明致します。
危険な薬の使用方法をご存じですか?
飲み薬の悪い使用方法の一例が以下になります。
不都合が起きる可能性のある危険な薬の使用方法
チュアブル錠など、水なしで飲めるように作ってある薬は除く。
全て不適切な薬の飲み方です。皆さま、把握していらっしゃいましたでしょうか。
危険な薬の使用方法とその悪影響
それぞれについて、悪影響を具体的に説明致します。
カプセル剤や錠剤は、製品毎に目的があってその剤形としています。その目的を達成できなくしてそれぞれ以下の不都合が生じます。
剤形の目的と起こりえる不都合
〇 服用感の改善が目的の場合
薬の臭いや味を感じて、飲みにくくなる。飲めなくなる。苦みや渋みなど薬の不快な味や不快な臭いが口の中で持続する。
〇 吸収のコントロール(徐放性製剤など)が目的の場合
吸収が早くなると効き過ぎたり副作用のリスクが高まる。吸収が遅くなると効き難くなる。
〇 胃で溶けないようにすること(腸溶性製剤など)が目的の場合
胃で薬が溶けて胃を荒らすなど副作用が出たり、胃酸で成分が分解したり、大腸に届けたい薬が小腸で吸収されて薬の効果が出なくなる。
〇 食前(食事の30分くらい前)服用の薬
胃の中に食べ物が入っていると吸収が妨げられる薬があります。そのような薬を食後の胃に食べ物が入っているタイミングで飲むと薬の効果が十分に得られなくなります。
〇 食後(食後30分くらいまで)服用の薬
空腹時に飲むと胃を荒らす薬や、食べ物と一緒の方が吸収が良くなる薬があります。そのような薬を食後以外のタイミングで飲むと、胃を荒らしたり、吸収が悪くなって効果が十分に得られなくなります。
〇 食間(食事と食事の間、食後約2時間後)服用の薬
空腹で飲むと吸収が良いものや、胃の粘膜を保護する薬があります。そのような薬を食間以外のタイミングで飲むと吸収が悪くなったり、胃の粘膜保護効果が低下して十分な効果が得られなくなります。
〇 食直前服用の薬
糖の吸収を抑える糖尿病の薬など、食べ物と混ざることで効果が出る薬があります。そのような薬を食直前以外のタイミングで飲むと十分な効果が得られなくなります。
コーヒーはカフェインを含み、薬との相互作用により、不安・不眠、興奮、胃腸障害、心拍数や呼吸数の増加などの副作用を引き起こす恐れがあります。
咳止め・ぜんそくの薬をコーヒーで飲むと、中枢神経への刺激が過剰となり、不安・不眠、興奮、胃腸障害、心拍数や呼吸数の増加など深刻な副作用や心臓の異常を引き起こしやすくなります。
カフェインを含む、お茶、紅茶なども同様です。
牛乳には、胃酸を中和する作用があります。胃酸が中和されることで腸溶性の薬が胃で溶ける可能性があります。
牛乳は、カルシウムを豊富に含みます。抗菌薬(テトラサイクリン系、ニューキノロン系)や骨粗しょう症の薬には、カルシウムと結合して水に溶けない物質に変化するものがあり、薬の吸収が悪くなって十分な効果が得られなくなります。
一部の抗菌薬の場合、牛乳で飲むと吸収量が50%ほど低下するというデータが出ています。
牛乳は、乳脂肪を含みます。睡眠薬(クアゼパム)や脂質異常症薬(プロブコール)など油に溶けやすい薬は、牛乳の脂肪(乳脂肪)に溶けると、体内に吸収されやすくなって効き過ぎることがあります。薬は、牛乳を飲んでから1時間以内の服用は避けましょう。
グレープフルーツジュースは、血圧降下薬(カルシウム拮抗薬)と一緒に飲むと、血圧が下がりすぎて危険な場合があります。グレープフルーツに、血圧降下薬(カルシウム拮抗薬)の分解を抑える働きがあり、体内の薬の量が増加し効き過ぎてしまうためです。
炭酸飲料で制酸剤の入った胃腸薬を飲むと、制酸剤が炭酸飲料の炭酸の中和に使われ、本来の効き目が得られない可能性があります。
チュアブル錠など、水なしで飲めるように作ってある薬は除く。
少ない水で飲むと、薬の吸収が低下したり遅くなって、本来の効き目が得られない場合があります。
水や白湯で飲むべき薬をそのままの飲むと、薬がのどや食道に引っかかり、食道炎や潰瘍を起こすことがあります。特にカプセルはくっつきやすくそのまま飲むのは避けましょう。
私たちの肝臓は、お酒のアルコールや薬を分解する働きがあります。
お酒と薬を一緒に飲んだ場合、肝臓はお酒のアルコールを優先的に分解して、薬の分解が遅れます。このため、体内の薬の量が増え過ぎて、効き過ぎたり副作用が出るリスクが高まります。
また、日常的にお酒を飲んでいる場合、肝臓の解毒能力(アルコールや薬を分解する能力)が高まり、薬が分解されやすくなって、効き難くなることがあります。過度の飲酒で、アルコール性肝炎から肝硬変に至った場合、肝臓の解毒能力が低下して薬の分解が遅れます。このため、体内の薬の量が増え過ぎて、効き過ぎたり副作用が出るリスクが高まります。
お酒は、中枢神経を麻痺させる作用があります。同様の作用を持つ安定剤や睡眠剤を一緒に飲むと薬が効き過ぎたり、副作用が出易くなります。
ワーファリンは血液を固まりにくくして血栓ができるのを防ぐ薬ですが、納豆菌がつくるビタミンKには血液を固まりやすくする作用があります。
せっかく、薬の作用で血液が固まらないようにしているのに、ビタミンKがそれを打ち消してしまいます。
納豆の他、ビタミンKを豊富に含む青汁やクロレラなども注意が必要です。
コエンザイムQ10(CoQ10)には、心臓の働きを高める作用があります。心臓の働きを高める薬と一緒に飲むと、薬が効き過ぎる可能性があります。
薬用ニンジンは、滋養強壮効果があるとされる生薬です。脳の神経を活性させて疲れをとりますが、睡眠薬や抗不安薬と一緒にとると、薬の効果を打ち消してしまいます。
心臓病薬(ジゴキシン)や抗菌薬(アモキシシリン)などの薬と食物繊維を一緒にとると、薬が食物繊維にからめとられて、吸収されにくくなり、効き目が低下します。
抗菌薬(テトラサイクリン系、ニューキノロン系)とカルシウムを豊富に含むサプリメントなどを一緒に摂ると、薬とカルシウムが結合して水に溶けなくなり、吸収しにくくなって効き目が低下します。
セントジョーンズワートは、軽度のうつ病を改善するサプリメントとして使われています。抗うつ病薬などと一緒に飲むと、効き目が過剰になり、精神状態が異常になる危険があります。
また、セントジョーンズワートは、肝臓において薬を分解する酵素の働きを高めます。その結果、心臓病の薬やぜんそくの薬は分解され、薬の効き目が弱くなってしまいます。
漢方薬やビタミン含有保健薬など一部の医薬品を除き、薬を漫然と使用し続けることは勧められません。
症状がいつまでも改善しない場合、セルフメディケーションで対応できない病気が原因である可能性があり、医師の診察を受けましょう。
また、副作用のリスクが高まるほか、せき止め薬など一部の医薬品では、依存性の強い成分を含む場合があり、長期間の使用で薬の使用をやめられなくなる恐れもあります。
のどに詰まりやすいため、6㎜以上の錠剤は5歳未満の子供に服用させてはいけません。また、6㎜未満であっても、3歳未満の子供に錠剤を服用させてはいけません。
カプセルも同様の理由で5歳未満の子供に服用させてはいけません。
以上、飲み薬の悪い使用方法に関する情報でした。
正しい薬の飲み方
チュアブル錠などを除いた、一般的な薬の正しい飲み方は、それぞれの薬の用法・用量に従って、コップ1杯程度(約200cc)の水、またはぬるま湯で飲むことです。
皆さまご存じの情報とは思いますが、正しい薬の飲み方を再確認頂き、薬を正しく安全にお使い頂くようお願い致します。