体に良い油、悪い油 ③

オメガ3脂肪酸で健康な毎日を

今回のテーマは、食品の油について。前回までの健康情報では、日本人の油の摂取量が多いこと、食品毎の油の含有量、油の健康への影響、油摂取状況の改善方法、油の種類と健康への影響などをお伝えしました。

今回の健康情報では、現代日本人の油の摂取状況の詳細をお伝えすると共に、具体的にどうすれば改善できるかご紹介致します。

更に、油に関するQ&Aにより、油の豆知識もお伝えいたします。

日本人の油の摂取状況、どうすれば改善できる?

平成28年国民健康・栄養調査により、脂質によるエネルギー摂取量の日本人の平均値は、総エネルギーの約27%であることが報告されています。

日本人の食事摂取基準(2015年版)により示されている基準値である20~30%に入っており、摂取状況に問題がないように思えますが、これはあくまで平均値の場合です。

脂質摂取量は個人差が大きく、以下の表に示すように20歳以上の男性で約3割、女性で約4割の方が脂質のエネルギー比率30%を超えて油を摂り過ぎている状況です。

20歳以上の男女の脂肪のエネルギー比率と割合

グラフ

出典:平成28年国民健康・栄養調査

これらの人では適正なバランスになるように脂質の摂取量を減らす必要があります。

質の面(油の種類ごとの摂取量の比率)から見ると、全体の平均値においても不適切な状態です。

日本人の油の種類ごとの平均摂取量(2017年)は、右記の通りです。

平均摂取量から計算される油の摂取比率は、以下のようにバランスが崩れています。

日本人の油の平均摂取量

オメガ3脂肪酸 2.18g
オメガ6脂肪酸 10.03g
オメガ9脂肪酸 20.34g
飽和脂肪酸 16.22g

出典:平成29年国民健康・栄養調査結果

飽和脂肪酸とオメガ3・6・9脂肪酸の理想と実際の摂取比率

グラフ

理想の摂取比率に比べて実際の摂取比率は、飽和脂肪酸が多く、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の合計量が少なくなっています。飽和脂肪酸を減らしてオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の合計量を増やしましょう。

オメガ3・6脂肪酸の理想と実際の摂取比率

グラフ

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率では、理想の摂取比率に比べてオメガ3脂肪酸が少なくなっています。オメガ3脂肪酸の摂取量を増やしましょう。

食事が洋食中心の方は、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率に特に注意が必要です。洋食のオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取比率は以下のようにオメガ6脂肪酸の比率が非常に高いことが知られています。

オメガ3・6脂肪酸の理想と洋食の摂取比率

グラフ

理想のバランスに近づける為にオメガ6脂肪酸を減らし、オメガ3脂肪酸を増やして、その比率を4:1に近づけましょう。

油の摂取の具体的な改善方法(全3回シリーズのまとめ)

ここまでの内容をまとめると、日本人の油の摂取状況を改善する具体的な方法は、以下になります。可能な範囲で取り入れて、健康を維持しましょう。

運動の実施

ジョギング

散歩やジョギング20分以上など。

食生活の改善

食生活の改善方法
  • パン食よりごはん食(洋食より和食)
  • 洋菓子より和菓子
  • 油の少ない素材を選び、油を減らす調理方法を工夫しよう。
  • 調理油はハイオレック(オメガ9脂肪酸が多い)タイプを少量に留めよう。
  • 加工食品を控えましょう。
  • オメガ3脂肪酸を豊富に含む青魚や亜麻仁、エゴマなどを積極的に摂りましょう。
  • 青魚は、刺身など生食が良いでしょう。
(油に関するQ&AのQ6を参照)

油に関するQ&A

Q1
飽和脂肪酸、オメガ3・6・9脂肪酸など様々な種類がある油ですが、種類ごとにカロリーに違いはありますか?
A1
油には、様々な種類がありますがカロリーはほとんど同じです。糖質やタンパク質は、共に1g当り約4キロカロリーですが、油は1g当り約9キロカロリーと非常に高カロリーです。体に良い油も摂りすぎるとカロリーオーバーになるので注意しましょう。
Q2
炒め物やてんぷら、フライなど日常使いでおすすめの健康に良い油は?
A2
一般の油より価格は上がりますが、オレイン酸(オメガ9脂肪酸)を多く含むハイオレイックタイプの菜種(キャノーラ)油、ひまわり(サンフラワー)油、べに花(サフラワー)油がおすすめです。
Q3
健康の為に積極的に摂りたい油は?
A3
青魚の油、亜麻仁油、エゴマ油などオメガ3脂肪酸(DHA、EPA、α-リノレン酸)を豊富に含む油を摂りましょう。血液をサラサラにして悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、心疾患や炎症、がんなどを抑制すると言われています。
Q4
サラダ油って何の油?
A4
サラダ油は、精製した植物油の総称です。日本農林規格(JAS)では、「菜種、綿実、大豆、ごま、ひまわり、とうもろこしなどを原材料にしたもので、低温下でも濁ったり固化したりせず、サラサラした状態を保つことができる油」と定義されています。
Q5
亜麻仁油やエゴマ油は、酸化して劣化しやすいというのは本当ですか。
A5
本当です。亜麻仁油やエゴマ油などのα-リノレン酸系の油は酸化しやすいので、少量ずつ買い、早めに使い切りましょう(添加されているビタミンEは、油の酸化を防ぐ目的で入れられています)。開封したら冷蔵保存をおすすめします。
Q6
DHAやEPAも酸化して劣化しやすいですか。
A6
DHAやEPAも加熱すると酸化します。青魚は、加熱せずに刺身など生でいただくと良いでしょう。焼き魚を食べるときは、カボスやスダチをかけて酸化した油を還元したり、大根おろしを添えるなどアルカリ性食品と一緒に食べて中和しましょう。
2019年10月02日
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