日光浴は有害それとも有益? ②

ビタミンDの必要量と日光浴の可否

今回の健康情報は、2回シリーズでビタミンDの健康への効果と紫外線の体への害を詳しく紹介しながら、日光浴の可否についてお伝えしています。

2回目の今回は、日本人のビタミンDの摂取状態を確認しながら、日光を浴びることの可否についてご紹介致します。

風邪気味

日焼け止めと高齢化でビタミンD不足の方が増加!

平成25年国民健康・栄養調査報告によると、日本人におけるビタミンDの1日の摂取量は男性が平均8.1μg、女性が平均6.9μgであり国内の基準値5.5μgを満たしています。

しかし、摂取量に個人差があり非常に多く摂っている人がいる一方、少ない人も多く、特に20~40歳代において摂取量が非常に少ない方が多いことが分っています。

東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授によると「日本人のおよそ50%以上がビタミンD不足の状態です。男女別では、男性の約1/3、女性の約1/2が不足。しかも、年齢を問わず、血中のビタミンD濃度は年々低下しているとのデータもあります。」とのこと。

また、高齢者の8割の方がビタミンD不足との報告もあります。高齢者のビタミンD不足は、皮膚におけるビタミンD産生能力が低下することに加え、屋外での活動量減少により日光照射を受ける機会が減少することが原因であると考えられています。

2人に1人がビタミンD不足
日焼け止めと高齢化でビタミンD不足

ビタミンDは1日にどれだけ必要?

日本人の食事摂取基準(2015年度版)では、18歳以上の男女で5.5μg、摂取の上限は100μgとされています。一方、海外に目を向けるとアメリカでは、2010年10月に右記のように推奨量及び摂取上限を増加しました。

推奨量は、3~4倍に増加しましたが、ハーバード大学公衆衛生大学院の研究者からはビタミンDの骨や慢性疾患などへの効果を考えると更に増やすべきとの指摘があります。将来、さらにビタミンDの推奨量が増加する可能性があると考えられています。

このような状況を見ると、日本の目安量は控えめです。過剰摂取の問題がありますが、目安量5.5μgに対して上限量は100μgと十分に余裕があり、過剰にならない程度にやや多めにビタミンDを摂っても良いでしょう。

アメリカでは推奨量が増加

日光は避けた方が良い?それとも浴びた方が良い?

WHOは、間違いなく少量の日光が健康にとって大事であるとし、ビタミンDを作るための日光照射の目安として、顔と両手両足に1週間に2~3回、夏季で約5~15分を薦めています。また、環境省は両手の甲に1日1回、日向で約15分あるいは日陰で約30分を薦めています。1)

日光を浴びることにより体内で作られるビタミンDは私たちの健康になくてはならない栄養素です。健康維持のため、前記を参考にして適度に日光浴を行いましょう。

適度の日光浴を心がけましょう

しかし、シワやシミは誰もが気になるもの。紫外線の危険性が気になる方は、ビタミンDを豊富に含む食品や、健康補助食品などで補給するのも良いでしょう。

ビタミンDを豊富に含む食品

参考文献
1)中島英彰, 宮内正厚(2013)「体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定」独立行政法人国立環境研究所

2019年04月17日
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