生活習慣病と動脈硬化その3

糖尿病と動脈硬化

今回は、3回シリーズ「生活習慣病と動脈硬化」の第3回、糖尿病と動脈硬化です。

糖尿病とは

糖尿病は、エネルギーを必要としている細胞の中にブドウ糖が運ばれなくなって、血液のなかにあふれてくる病気です。
その名称は、血糖(血液中のブドウ糖)が増えた結果、尿中にもブドウ糖が排出されることに由来しています。
診断には主にブドウ糖負荷試験*が行われ、負荷2時間後の血糖値が200mg/dl以上だと糖尿病と診断されます。

糖尿病の診断基準

ブドウ糖負荷試験*とは

糖尿病かどうか確実に診断をするための試験です。

  • 朝の食事を抜いて空腹で採血
  • ブドウ糖のジュースを飲む(ブドウ糖負荷)
  • 30分後・1時間後・2時間後に採血し血糖値を測定

糖尿病は動脈硬化だけでなく三大合併症に注意が必要!

血糖値が高いと、次のような症状がでます。

  • のどが渇く
  • 尿の量・回数が多い
  • 体重が急激に減る
  • 全身がだるく疲れやすい
  • 目がかすむ(視力障害)
  • 立ちくらみ
  • 手足のしびれ等

これらの症状は一概に糖尿病による症状とは言えません。糖尿病は、はっきりした自覚症状がない為に発症しても気付き難い病気です。

しかし、血糖値が高い状態は、血管を傷つけたり、血液をドロドロにしたりと、さまざまな負担を血管に与えます。

糖尿病は様々な要因が重なって発症します 放置すると致命的な結果に

糖尿病は、長い時間をかけて血管をボロボロにし、動脈硬化を進行させます。
また、早い段階から毛細血管に悪影響を与えるため、毛細血管が集中する網膜、腎臓、手足に障害の現れる「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」は糖尿病の三大合併症(細小血管障害)と言われ起こる確率が高い合併症です。

糖尿病は活性酸素が血管を傷つけて、動脈硬化や毛細血管の損傷を促進する!

糖尿病は以下のメカニズムで血管に障害を及ぼし、血管の内腔を狭くしたり、塞いだりします。

糖尿病が血管に障害を及ぼすメカニズム

糖尿病には大きく分けて2つのタイプがあります

1型糖尿病
2型糖尿病

*インスリンとは

体の中で作られるホルモンの一種です。ブドウ糖を細胞の中へ運び、血糖値を下げる働きがあります。

アルツハイマー病は「3型糖尿病」!?

アルツハイマー病は認知症の一種で、認知症に占める割合がおよそ7割と最も高く、近年発症者が急増しています。

最近の研究結果から、アルツハイマー病は「3型糖尿病」と言われるようになりました。
その理由は、アルツハイマー病の患者の脳内で糖尿病と同じことが起きていることに起因します。
糖尿病は、エネルギーを必要としている細胞の中にブドウ糖が運ばれなくなって、血液の中にあふれてくる病気と冒頭でお伝えしました。
脳のエネルギー源は主にブドウ糖ですが、アルツハイマー病の患者の脳内では、糖尿病と同様に細胞にブドウ糖が運ばれなくなっています。細胞にエネルギー源のブドウ糖が送られない為に変質して死んでしまい、アルツハイマー病が進行するのです。
これらの研究結果より、糖尿病を予防することでアルツハイマー病も予防できると考えられています。

糖尿病の予防も生活習慣の改善

1型糖尿病を予防することは困難ですが、2型糖尿病、3型糖尿病は生活習慣を改善することにより、予防が可能であると考えられています。
バランスの取れた食事、運動、ストレスを貯めない生活、禁煙を心がけましょう!

糖尿病の予防はバランスの取れた食事、禁煙
糖尿病の予防は運動、ストレスを貯めない生活
2014年07月30日
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