漢方薬を知ろう(1)
漢方の診断方法
西洋医学では、「体のどこが悪いかを突き止め、悪い部分を治すための治療」を行います。これに対して、漢方では、【体全体の調和が崩れたために病気が引き起こされる】と考えます。漢方の治療は、「その人の体と心を総合的に診て、病気になった部分だけでなく、体全体を健康な状態に回復させる治療」を行います。
漢方の診断では、四診と呼ばれる4つの診断方法で体の状態を確認します
漢方の四診
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望診 【視覚】顔や腕等の皮膚の血色。体型・動作・舌の状態。
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聞診 【聴覚】声の調子や、呼吸音。体臭・口臭等の臭い。
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問診 【自覚症状】様々な状態を質問する。
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切診 【触診】体に触れる。お腹の張り、脈など。
漢方では、その人の「証」によって、治療に用いる薬が決められます
「証」を判断する際は、相反する2つの要素「陰・陽」「表・裏」「実・虚」「熱・寒」などを基準とします。その中でも重要視される「証」が、「実・虚」、つまり「実証」と「虚証」です。
実証
- 体型筋肉質
- 体力ある
- 胃腸丈夫
- 筋肉発達良好
- 栄養状態良好
- 活動性積極的
- がっちりとした体格で、筋肉が発達。
- 歩き方が力強く感じられる。
- 顔色は光沢と潤いがあり、血色もよい。
- 髪にも艶があり、目は生き生きとして力がある。
虚証
- 体型やせ、水太り
- 体力ない
- 胃腸弱い
- 筋肉発達不良
- 栄養状態不良
- 活動性消極的
- 痩せていて、前かがみで歩く傾向がある。
- 顔色はどちらかというと青白い。
- 髪につやがなく、目に力がなくうつろである。
実証でも不健康!?
体が弱いイメージである虚証に対して、体の強い実証であれば、健康であるとのイメージをもたれやすいようです。しかし、実証であっても、元気そうに見えて病邪が潜んでいることもあります。
例えば、血圧が高く、脳卒中などを引き起こしやすい状態、過食による肥満など
実証と虚証の治療方法
実証であるか、虚証であるかで、治療方法が大きく異なります。実証の方に対しては、余ったものを取り去る「瀉」の治療、虚証の方は、不足したものを補う「補」の治療が行われます。
証にあわない漢方薬を用いた場合、目的としていた効果の記載があっても、効果が得られないばかりか、かえって弊害が現れることがあります。
自分の証を確認し、適切な漢方薬を選びましょう
健康ガイド 金盛 俊介
(薬理研究、登録販売者、健康管理士など)
(薬理研究、登録販売者、健康管理士など)
2012年10月29日